ぼく逃げちゃうよ マーガレット・ワイズ・ブラウン/作 クレメント・ハード/絵 岩田 みみ/訳 ほるぷ出版 1320円(税込み)
息子がこの頃、私に注目して欲しい時にいう言葉。
「おかあさん、僕の方を見たらあかんで。
気にしてもあかんで。」
そうすると私は手をとめて、「じー」と言いながら息子をじっと見る。
息子はけらけら笑いながら
「こっち見たらあかんでって言ってるやろ!」
と嬉しそうに言う。
さて今日のこの絵本。
題名のとおり、「ぼく逃げちゃうよ」と
子どものウサギがおかあさんウサギに言う。
子ウサギは空想の力を存分に使って、庭の花になったり、時にはヨットや鳥になったりして、海や山などの遥か遠いところにまで逃げちゃうよと宣言する。
(実際に逃げちゃうわけではない)
「そうしたらおかあさんは…」と
おかあさんウサギも庭師や木、ついには雲になったり、どんなところへでも子ウサギを追いかけて行って抱きしめるのだと言う。
ぜったいに追いかけてきてくれる。
それがたとえ空想のお話の中ででも、どんな時でも、どんな所へでも、親は自分を追いかけてきて見つけてくれる。
子どもにとってそれは大きな安心だ。
この安心がないと、子どもはこわくてどこへも行けないんじゃないだろうか。
自分の方を向いていて欲しいと言う気持ち、なんかわかる。
子どもの頃の気持ちを、思い出した。
著者はマーガレット・ワイズ・ブラウン。
「おやすみなさいおつきさま」の著者。
そして絵も同じクレメント・ハード。
この絵本にも不思議な雰囲気のする暖かそうな部屋の絵がある。
暖炉の前で寝間着を着たウサギのお母さんが、膝の上にウサギの子供を載せ座っているページ。
この暖炉の部屋、見たことあるな…とそこで気づく。
「おやすみなさいおつきさま」と同じ世界なのだと。
ウサギ達が雲や花になったり、幻想的な絵も素敵な一冊。