「おおきなきがほしい」

おおきなきがほしい
佐藤 さとる/作
村上 勉/絵
偕成社 1100円+税


木登りに憧れる。
私は木に登れないのだ。
子どもの頃の運動神経は、悪い方ではなかったと思う。
しかし、どうやって木に登ればいいのかわからなかった。

友人の子は、よく木に登っている。
はじめてその子を見た時も、木に登っていたっけ。
この前はアスファルトの壁を登っていた。

足場を上手く見つけては、するすると登っていく。
安定した太い枝に腰かける。
あっという間に、自分だけの空間だ。

なんだかとても羨ましい。
少しだけ高くから見る景色を見てみたい、と思う。

木の上の空間とは、どんなものなのだろう。
想像するだけで、爽やかな気分になる。
緑が近くにあるどころか、緑の中にいるのだから。

この絵本のかおるくんも、そんな木の上の空間を夢想する男の子だ。
かおるくんの語る木の上の空間は、ただ緑に包まれるだけに留まらない。

四季があり、生活がある。
台所だってあるのだ。
かおるくんが、木の上の台所でホットケーキを焼いている。
木の上でおやつまで食べられるなんて最高だ。

私にもこんな台所があったなら、もっときちんと料理をするだろう、たぶん。
木の上の自分の部屋でなら、仕事だってもっと捗るだろう、きっと、、たぶん。

気晴らしに、もっと上に登って景色を眺めるのも良いなぁ。

リスや小鳥もやってくる。
夏にはセミも鳴いている。

木の家では、ただそこで暮らしているだけで、きっと心も体も洗われるのだろうな。

大人だって想像があふれてくる、木の上の自分だけの空間。
雑誌や本で見かけるツリーハウスだが、なるほど、憧れる気持ちもよくわかる。

息子には少し文章が多いかと思ったこの絵本だが、全く気にする必要などなかった。

かおるくんの木の家に、私も息子も夢中になった。

今はかおるくんの木の家を楽しく見ている息子も、
いつか自分の大きな木があったならと、話をしてくれるだろうか。

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