「わたしとあそんで」

「わたしとあそんで」 

マリー・ホール・エッツ/文・絵

よだ じゅんいち/訳

福音館書店 1100円+税


可愛らしい女の子が森で遊んでいる。

そこにやってくる動物たち。

女の子が遊ぼう、と近づくとみんなどこかに行ってしまう。

一緒に遊びたいのに。

でも女の子がじっとしているとみんなそばに集まってきて…。

女の子のくるくる変わる豊かな表情に、目が離せない。

動物たちが遊んでくれず退屈な顔、みんなが戻ってきて、嬉しくってわくわくしている顔。

嬉しくてたまらないのを抑えてじっとしている顔。

動物たちがびっくりしてまたどこかに行ってしまわないように、動かずにじっとしているが、でも気になって仕方ないので、横目で見ている顔。

見るのだけはどうしても我慢できないよう。

最後の、鹿の子とも仲良くなれたとても嬉しそうな顔。幸せが溢れている。

よく見ると、動物たちまでいいお顔をしているではないか。

お日さまは、それをずっと見ている。見守っている。

私もこのお日さまのように、穏やかに、ずっと子どもを見守っていたいものだ。

作者は、子ども時代に自然に親しんだことが、のちの制作に決定的な影響をあたえた、と紹介文にあった。

なるほど「わたしとあそんで」も、「もりのなか」も自然のなかでの子どものお話だ。

ページをめくると、野の草花が描かれている。

子どもにとって、一番最初の友達は、身近な木々に草花、虫や動物たちだ。

わたしも雑草をむしったりしてどれだけ遊んだだろうか。

淡い色彩で彩られたこの絵本の世界が、なんだか幼い昔の情景のように思えた。

もうひとつ、この絵本は人との関わり方の、とても大切な事を伝えてくれている。

近づきすぎず、ただ静かにじっといる。するとやってきてくれる人がある。

積極さは大事だけれど、受け入れられる為にそんなにがんばらなくても良い。

ただ座ってそこにいる、それだけで受け入れられる。

そんな穏やかな距離の温かさや心地よさだってあるのだと。

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